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絵本講師からの言葉 1・2お父さん、お母さんの元気が子どもの生きる源になるはず」中村利奈(絵本講師)
絵本講師として活動を始めてから 4 年目の現在、二人目の出産により主だった活動を一時休止しています。しかし講座という形から離れていても、絵本を通した出会いや気付きが沢山あることを実感する日々です。それらのことについてお話しします。 息子の通う幼稚園で読み聞かせサークルに所属しているのですが、年に数回、園児に絵本を読みに行きます。その際に、読む前と読んだ後で子ども達の親しみが 全く違うことに驚かされます。読み終え教室を去るときに見送りに出てきてくれるのはもちろんのこと、抱きついてきてくれる子もいます。そして皆からのバイ バイ攻撃(笑)。普段からよく絵本を読む園なので珍しいことをしたわけではないのですが、とても喜んでくれたことが子どもの身体全体から伝わってきます。 また、息子( 5 歳)のお友達のお宅で絵本を読んだ時のこと。小4のお兄ちゃんが一番嬉しそうに聞いてくれるのです。数冊読み終えた後は、好きな本の話などを聞かせてくれました。人見知りをする子なのに、と傍で見ていた母親が驚いていたのが印象的でした。 絵本を読むこと、同じお話の世界を共に旅するということは、お互いの心の垣根をこんなにも簡単に取り除いてくれるのかと改めて感心しました。他人でもこう なのですから、親子で読んで安らぎを生み出さないはずはありません。「読み聞かせが心の絆を強める」ことを再確認させられる出来事が続いています。 また、転居後 3 年目にして周りに絵本好きが広まりつつあり、嬉しい効果を感じています。我が家に遊びに来てくれたお友達親子は、よく「中村文庫」といって絵本を借りて帰 られます。読んでみた感想や「子どもが気に入ったから買っちゃった」などという話を聞くと嬉しくなります。また小学校で読み聞かせの活動をしているお母さ んが、お勧め絵本を尋ねてくれることもしばしば。数冊お貸しすると、後日楽しいエピソードをお土産に返却しにきてくれます。自然と絵本選びの話に発展し、 「主食とおやつ」の考え方などを数人にお話する機会に恵まれました。前述の読み聞かせサークルでも絵本選びの話から発展し、ミニ講座をさせてもらいまし た。不思議と活動を休止してからそのような機会が増え、また絵本講座でお話したくなるようなエピソードの引き出しも増えてきています。 私は絵本講師になってこの方、講師としての自分の存在価値は「講座をしてなんぼ」のものとばかり思っていました。堂々と正論を言える場、聞きたくて来てく れている方の前で話をするものだと考えていました。でもそれは言ってみれば楽をしようとして、周りをないがしろにしていたのですね。実はこんなにも身近 に、興味を持ってくれる人、話しを聞いてくれる多くの人たちがいたのですから。 今の自分にもできることは沢山あるのだと、立ち止まってみて初めて気付きました。原稿を準備し、絵本と参考図書を山ほど抱えて話すことだけが絵本講師ではないのですね。 この人に出会ってよかった、知り合って子育てが少し楽しくなった、そんな風に思ってもらえることが、自身(絵本講師)の活動の原点なのだと今、改めて感じています。 「お父さん、お母さんの元気が子どもの生きる源になるはず」北素子(絵本講師)
絵本講師という肩書を持つようになって四年になります。聞き慣れないその言葉に「それって何をするの?」と尋ねられることもしばしばです。読み聞かせをし てくれる人?絵本の評論家?「簡単にいえばね、絵本で子育てをするのってとても素敵なことだよっていうことを、子育て中のお母さんや育児に携わっている人 に伝える仕事なの。」 絵本講師になるきっかけはわが子への読み聞かせをしているときに抱いた疑問でした。 「たくさんの絵本から、何を選べばいいのかわからない。」「いい本のリストが欲しい。」インターネットの絵本サイトでも、図書館や書店で聞いても、納得の いく答えを聞くことができませんでした。ママ友達とも「絵本って読んだ方がいいんだろうけど、よくわからないよね」といいながら「これなんてかわいいん じゃない?色もきれいだし、言葉も少ないし。」「これ、しかけがあって面白そう」などの基準で選んでいました。しかし、子どもにこれといった反応もなけれ ば、読んでいる私もあまり楽しいと思えなかったのです。 ところが、繰り返し読んでいた『じゃあじゃあびり びり』(まついのりこ/作 偕成社)に、 9か月になった娘が大きく反応をしたのです。指をさしながら、挿絵の赤ちゃんの顔まねをして声を出しているのです。子どもの反応を得られたことで、「読み 聞かせの効果か?」と思った瞬間でした。同時に、絵本ってなんでもいいというわけではないのかもしれない、もっと知りたいと思ったのです。 そんなとき、たまたま目にした「絵本講師・養成講座」。いざ受講してみると、毎回目からウロコの情報がたくさんありました。しかし、学んだことをわが子の読み聞かせに実践してみても、何かが違うという思いは残っているままでした。 養 成講座の4回目でしたでしょうか、当センター理事長森ゆり子氏の絵本講座を拝聴しました。その中で『いいこってどんなこ?』(ジーン・モデシット/作 ロ ビン・スポワート/絵 もきかずこ/訳 冨山房)の読み聞かせを聞いて、涙があふれてきました。その本は、うさぎのバニーぼうやが、かあさんうさぎに「ぼ くっていいこ?」と無邪気に質問を重ねるという内容です。私はそこに、親の期待にこたえようとして必死でいい子であろうとしていた子どもの頃の自分をみた のです。かあさんうさぎが言う「 いまのバニーが いちばん だいすきなんですもの」。この言葉が、子育てに日々悩んでいる私を認めてくれて、励ましてくれている言葉にも思えたのです。 この本を買って帰り、2歳の娘に読みました。読みながら、やはり涙で言葉に詰まってしまいました。娘は「お母 さん泣いてるの?大丈夫?」と私の頭をなでてくれました。思わず娘を抱きしめると、ふと何かから解放された気がしたのです。娘が「いまのお母さんが一番大 好きだ」と言ってくれている気がして。そして、娘の今のままが一番大好きだと心から思えて。 絵本を子ども に読み聞かせると、情緒豊かに育ち、語彙力の高い頭のいい子になると聞くし、他にもきっと素晴らしい効果があるはず。どんな本を読めばそんな子に育つのか 教えてほしい・・・当時の私は、こんな風に思っていたのだと思います。つまり、子どもに本を読むことの本質を全く理解していなかったのです。 絵 本だけではありませんでした。育児全般において、「これをすればこうなるはず」という考えで凝り固まっていたような気がします。栄養のある土に種を植え て、日当たりのいい場所に置き、水をたっぷりやっているのに、なかなか芽を出さないことに苛立ち。ようやく出てきたと思ったら、真っすぐではないからと いって矯正を促したり、いろんな養分をふりかけたりして。 子どもの育つ力を信じてやれなかったし、待つことができなかったし、子どもと自分との違いを楽しむ余裕もなかったし。うまく人に頼ることもできず、いつも焦燥感や不安を感じていて、自分に自信がもてなかったのです。 し かし、娘と本当の意味で読み聞かせを楽しめるようになってからは、子どもの、「今」を見守っていこうと思えるようになりました。何を感じているのか、考え ているのか、子どもからの発信をキャッチするアンテナが敏感に働くようになってきた気がします。そうすると、子育てはとても楽に感じられるようになってき たのです。 そんなわずかな経験ですが、自分と同じように子育てに奮闘しているお父さん、お母さんに、絵本で子育てをすることの楽しさを伝えていければいいなと思い、絵本講師の活動をしています。 お 母さんたちからよくこんな質問をされます。「絵本って高いから失敗したくないんです。どれがいいか教えて下さい。」「いい本だっていうから買ったけど、全 く興味を持ってくれないんです。」「読んでもちゃんと聞いてくれないんです。」・・・私は答えます。「そうですよね。よくわかります。だって私も同じよう に思っていましたから。でもね・・・」 絵本を読み聞かせようと必死になるのではなく、その先に見える、子どもの心をよんでみませんか?子どもの心を読めると、わが子の「そのまま」を受け止められるようになり、自分にも笑顔が出てきて元気になれる気がするのです。 お父さん、お母さんの元気が、子どもの生きる源になるはず。絵本で子育てすることは、その元気を引き出すことに一役かってくれるに違いありませんから。
「絵本タイムは子どもと向き合うきっかけの一つ」岡部 雅子(絵本講師)
子どもと絵本を読むようになって9年になります。子どもと絵本を読み、さらに絵本講師の活動を始めたいきさつをお話しします。 幼い頃を振り返ると児童館の小さい本棚の前で加古里子さんの絵本を自分で読んだことを鮮明に思い出します。誰かに読んでもらった思い出がありませんから、 誕生した我が子に絵本を読んでやるということを思いつきませんでした。ブックスタートも知りませんでした。産後すぐに、夫の転勤で、九州の社宅に引っ越し ました。そこでは、先輩ママたちが、テレビを消して絵本と木のおもちゃで子育てをしていたのです。彼女たちの影響を受け、知育的な効果を期待しつつ、長女 が一歳のお誕生を迎えた頃から絵本を読むようになりました。初めの頃は、読んだあとにお昼寝を強制したり、最後まできちんと聴くことを強要したりもしまし た(笑)。そんな試行錯誤を繰り返すうちに、娘が絵本を読んでもらうことに慣れてきたことに気付きました。私の読む声と絵とが関連しているのがわかったの か、おとなしく絵に見入るようになったのです。そして、お散歩で本物のちょうちょや飛行機などを見たあと、絵本を広げて一緒だと示すようになりました。そ んなふうに、絵本は、まだおしゃべりできない娘と私とのコミュニケーションツールになったのです。 それ から一年ほど経って、長女が二歳を過ぎた頃、また転勤で、関西に引っ越しました。幼い子でも環境の変化がわかるんですね。忙しくしている私の傍を片時も離 れず、何冊もの絵本を積み上げ読んでとせがむのです。それも一日中。お友達にも会えなくなって、周りの景色もお家の中も変わってしまって、娘にとって変わ らないのは絵本だけだったのでしょうね。絵本への執着は、一ヶ月あまり、ちょうど家の中が片付いて散歩に出かける余裕ができた頃まで続いたのです。このこ とから、絵本は楽しいだけでなく、子どもの心の奥深いところに届く何かを持っていると思うようになり、読んでと言われた時は手を止めてできるだけ丁寧に読 むようにしました。 「絵本講師・養成講座」受講生募集の案内を知ったのは、長女5歳、次女2歳になった 頃でした。作家や小児科医などの講師陣から学んだことは、頑なだった私のこころに柔軟さを与えてくれ、絵本について漠然と感じていたことを確信に変えてく れました。柳田邦男氏「絵本は人生に三度」、飫肥糺氏「大人こそ絵本を読もう」、松居直氏「絵本は読んでもらうもの」、これらの言葉は衝撃的でした。これ までは、子どものために読んできたのです。絵本は子どものものと思い込んでいたのです。大人の私も楽しんでいいんだと思ったとたん、気が楽になりました。 共に楽しんでいい時間だと思うと、絵本タイムが心から楽しくなりました。絵本からのメッセージが心にしみるようになりました。子どもの気持ちや子育てのヒ ントが、いろんな育児書を読んでもわからなかったことが、頭では分かってもできなかったことが、絵本の中にちゃんとかいてあるんです。養成講座で学び、子 どもとの今を楽しむということがやっとわかりました。絵本を共に読むことは、共に今を生きることだったのです。 養成講座修了後、学んだこと感じたことを伝えたいと絵本講師の活動を始めました。活動を通して出会った方の体験談・後日談からいろんな楽しみ方があること に気付かされます。例えば、三人兄弟の上の子(小二)に読んであげようかと声をかけたら、「え、いいの!」と喜んでくれたこと。小三の息子に長編を読み始 めたら、次の日も続きを楽しみに待っていてくれたこと。小四の息子に幼児期以来の読み聞かせをしたら、寝顔までにこにこだったこと。など。絵本タイムを親 子ふれあいの時間と捉え楽しんでいらっしゃる様子を窺い知ることができます。また、後日談を寄せてくださるお母さんの顔の嬉しそうなこと。私も含め母親 は、子どもとのこんなささやかな喜びがあるからこそ、他者を慈しむこころを育み、明日への希望を抱いていけるのかもしれません。子どもも安心感や自尊感情 を、あるいは自分の居場所のあることを感じているのでしょう。共に絵本を読むそのわずかな時間に、お互いの存在を再確認できるのです。絵本タイムは子ども と向き合うきっかけの一つです。そして、子どもの成長と共に、お母さんもいろんな本に出会うチャンスがあります。そんなことを伝えたいと思っています。
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