子ども歳時記1・2・3・4・5・6・7・8・9・10 | | 新年あけましておめでとうございます | | 新しい年が始まりました。願わくば家族みんなが笑顔で過ごせる時間をたくさん持てたらいいですね。 私が親になって今年で 13年になります。気がつけば長男12歳、次男10歳。夜寝る前の定番だった読み聞かせも次男が“つ”のつく年(九つ)を卒業したと同時期にしぜんとなく なり、今ではたまに読む程度になりました。今までお世話になった絵本が思い出を抱えこんで本棚にずらっと並んでいます。絵本の数だけ思い出もあって、家の 中でなくてはならない存在として堂々といばっています。 今で も思い出話の中に絵本は度々登場します。数ある絵本の中でトップ3に入るくらい読まされた思い出深い絵本に『もりたろうさんのじどうしゃ』(おおいしまこ と/さく、きただたくし/え、ポプラ社)があります。もりたろうさんというおじいさんが郵便配達の仕事を定年退職した後、自動車免許を取りボロ車を買いま す。そして自分で手入れした愛車に乗り息子夫婦のところへ出かけていき……というお話です。道徳的なことは感じず、もりたろうさんが生き生きと暮らす日常 生活が続くお話です。 車好きだったからでしょうか。もりたろ うさんの人柄でしょうか。手によく馴染んでいました。のどかな空気の中で流れていくこの物語が好きです。何か成長の糧になどと気負わず読める一冊でした。 そんな一冊に出会え、子どもたちと楽しかった時間を過ごし、一緒に思い出しては笑顔になれる大切な一冊です。もしかしたらこの絵本は子どもたちよりも、私 に必要な絵本だったのかもしれません。 |  『もりたろうさんのじどうしゃ』 (ポプラ社) | | 今の時代に生きる私たちにできること |  『月のみみずく』 (偕成社) | 絵本の中の物語を目や耳から想像して頭の中で動かしていくのが好きです。想像する時、自分が経験したことを頭をフル回転して思い出します。そして、絵本の 中で想像したことを生活の中で経験すると、形を成して心に残ります。それは自分の気持ちを人に伝える手段となり、また自分の気持ちを具体的に理解できるよ うになるのではと思います。その経験は、自分の気持ちが分からなくなる思春期に、冷静に自分を見つめ直す手助けにもなると思うのです。 中学生になるまでに経験できることがたくさんあるといいですね。松居直先生の講演で聴いた言葉ですが「教えてはダメ」なんだそうです。子どもが自分で気付 いて心にストンと落ちるまで……。そばにいてその瞬間に出会えるよう、手助けが出来るよう待っていましょう。『月夜のみみずく』(ヨーレン/詩、工藤直子 /訳、ショーエンヘール/絵、偕成社)という絵本があります。とうさんと女の子の静かな冬の森での一夜が描かれています。セリフはとうさんのセリフが少し だけ。女の子の気持ちが文章で、森の様子が絵で表現されています。目で見て感じたことを言葉で受け取れる楽しさが感じとれます。 子どもは自然から多くのことを感じ、自分で学びとっていくのではないかと思います。時には厳しい顔も見せながら、でも悠々と受け入れてくれる。自然が私た ちの身近な場所から遠ざかり、日常生活の中で感じ難くなってしまいました。それでも見つけてみましょう。まずは空を、子どもと一緒に見上げてみませんか? (くらとみ・のぶよ) | | 幸福な気持ちで眺める日々 | | 気持ちが外へ、外へと向かっていた夏が、いつの間にか遠ざかり、自らの内面と対峙する秋がやって来ました。我が家の子どもたちも、真っ黒に日焼けした肌が 少しずつ落ち着くように、平静を取り戻しつつあります。さあ、今日は何を読もうか?-絵本棚の前で、迷いに迷っているわが子の背中を、幸福な気持ちで眺め る日々です。 「こんな日だってあるさ」 本書の原題を直訳すると「今日は最悪の一日」。そうです。ロナルド・モーガンは、この日、次から次へ失敗を繰り返し、本当についていないのです。鉛筆を落 としたのが、そもそもの始まり。机の下で鉛筆を探している姿が、まるでヘビのようだと笑われ、彼は「くねくねちゃん」と呼ばれることに。さらに、包みを間 違えて、クラスメートのランチを食べてしまったり、野球のボールを取り落としたり、教室の鉢植えを割ってしまったり…。担任のタイラー先生に散々叱られ、 手紙まで渡されてしまったロナルドは、しょんぼりと家路に着きます。 ここまで読んで、私たちは思うことでしょう。かわいそうに、家に帰れば、先生からの手紙を見たご両親に、またこっぴどく怒られる!ところがその手紙には、 心のこもった暖かい言葉が綴られていたのです。やることなすこと、すべてが裏目に出てしまうというような日が、子どもにだってあります。そんな時、私たち はタイラー先生のように、すべてを優しく包み込み、明るく笑い飛ばして忘れてしまうような大らかさを持って、子どもを励ましてあげたいものです。 |  『こんな日だってあるさ』 (童話館出版) | | 絶望の果てに見出した「生への希望」 |  『この悲しみの意味を知ることができるなら -世田谷事件 喪失と再生の物語』 (春秋社) | 「この悲しみの意味を知ることができるなら~世田谷事件 喪失と再生の物語」 世田谷で起きた一家殺害事件は、今も人々の記憶に、生々しいものとして残っていることでしょう。この事件で著者は、隣家に暮らす最愛の妹一家を一夜にして 失います。異常犯罪との遭遇から、終わりのない悲しみと悪夢の中で、歩むべき道を模索し続ける著者。しかし、「絵本との出会い」そして「絵本の読み聞か せ」により、再生の扉を開けていきます。命の尊さを伝え、不条理な別れに遭遇した方々の悲しみを和らげたい、そして絵本の力で豊かな心を育て、犯罪が蔓延 することのない社会を目指したいとの思いから、絵本創作と読み聞かせ活動に従事する著者の姿には、苦境に屈しない力強さを感じます。本書には絶望の果てに 見出した「生への希望」が、非常に丁寧に綴られており、絵本の持つ力を改めて感じるのでした。 文字通り、野山駆け回り、遊ぶことに徹していたわが子の夏休みが終わり、日が落ちる時間もだいぶ早くなりました。親子で過ごす時間が長くなりそうです。ほ んの少し寂しさを感じる季節、絶えず抱かれたり、話しかけられたりしている安心感や心地よさを与えることができたらと、今日も絵本を手に取るのでした。 (たにぐち・じょい) | | 答えではなく、思考の時間を楽しむ | | まだまだ暑い日が続きますが“読書の秋”の季節がやってまいりました。秋の夜長にどの絵本や本を読もうかと、子どもたちも私もわくわくしています。 ルピナスは秋に種を蒔き春に咲くお花です。和名が“昇藤(のぼりふじ)”といい花言葉は“空想、いつも幸せ、母性愛、多くの仲間”なのだそうです。 少女はおじいさんと 3 つの約束をします。 2 つの約束は果たしましたが、 3 つめの約束をどうしたら果たせるのか、なかなか思いつきません。思いつかないまま齢を重ね、とうとう髪に白いものが混じるほど月日が流れていきました。そ の 3 つめの約束…それは「世の中を、もっとうつくしくする」こと。凛としたルピナスさんの横顔。ある日、ルピナスさんはやっとおじいさんとの一番難しい 3 つめの約束を果たします。そこには至福の時を過ごしているルピナスさんの横顔がありました。ちょうど花言葉と同じように… 人のためにどこまで尽くせるか、私利私欲を取り去り世の中のために何ができるか。結果よりも、その考えている時間が何より貴いのではないでしょうか。子ど もに伝えたいこと…それは一つの答えではなく、長い坂を登ったり下ったり、思考の時間を楽しむことなのかもしれません。 |  『ルピナスさん』 — 小さなおばあさんのお話 — (ほるぷ出版) | | 他人の脳の中に入りこめる脳を育てる |  『子どもの脳と仮想世界』 教室から見えるデジタルっ子の今 (岩波書店) | この類の書物が出版されると「エビデンス = 証拠・根拠は?」と問われ批判を受けたり再検証されたりすることが少なからずあります。いかんせんこの分野は科学的な検証が行いにくいのが現状ではないで しょうか。著者は元小学校教諭で 70 年代末よりコンピューター教育を実践され、コンピューター教育のパイオニアの一人です。教師時代に実際に経験された「危惧すべき現状」を膨大な参考文献な どにより解説、考察されています。 10 歳まではネットから距離を置き、五感を使った直接体験と本物体験をさせ現実の世界を学ぶことを最優先させるべきだと言われています。私自身、子育て中であ り様々な分野の方の講演を拝聴させていただく機会があります。どの方の講演でも科学的なエビデンスを示されてはいませんが異口同音に幼児期の五感を使った 育ちの大切さを語っておられました。まさに私にとって全ての講演のエビデンスとなった書といえます。《教師たちが行う国語の読解授業。そしてママが行う本 の読み聞かせ。それは脳科学的に定義すれば「他人の脳の中に入りこめる脳を育てる」まさにその営みに他ならないのです》という嬉しい言葉まで添えられてい ました。思いやりのある子に、優しさはどうやって育めばいいのかと迷い戸惑い、そして間違いのない確実な方法を知るすべもなく現在まできてしまいました。 《読み聞かせ大好きママ》は子ども脳が「心のひな形」を学ぶ手助けをしています。これからは自信を持って絵本の中の悔しさ、哀れさ、喜び、感動を一緒に体 験し子どもの心を育てていると言えそうです。 虫の声を聞きながら、家族みんなで豊かな時を過ごしたいものです。今、植えた種は春には必ず芽を出します。今して今、結果が出ることばかりを求めずに子どもを信じ待つことも大切です。どんな心になるのか…種だけは蒔き続けていたいと思います。 (ますたに・ゆうこ) | | ルリユールおじさんへ | | 私の大事な木の図鑑の本がバラけて壊れてしまった時、丈夫で美しい本に創り直してくれたルリユールおじさん。“ルリユール”という言葉は、製本、装丁、修復のすべてを手仕事で仕上げる製本職人という意味なのね。 父、子、孫と受け継がれてきた老職人のおじさんと私の出会い。そして、一冊の本を創る過程の物語を、いせ ひでこ (伊勢英子) さんという日本の芸術家の方が絵本に描いたの。心に沁みる清冽な絵本です。 『ルリユールおじさん』 (いせ ひでこ / 作、理論社)。 いせさんは、何百年もの伝統、歴史、仕事への誇りをもって、毎日繰り返される地味で平凡な作業の中にある豊かさや、本が時代を超えて何度でも生命をよみがえらせることに感動して、パリに住み工房に通い、製本過程をよく観察してこの絵本を描かれたの。 登場人物はおじさんと私。本とアカシヤの木。静かで落ち着いた濃淡の青と茶の木々や街並みの色。少しの赤と明るい緑色の木の葉。一冊の本の中で時間がゆっくりと流れる。 デジタル化が進んだ今の時代、根気と忍耐と愛情をもって手間ひまをかけ一つのものを創り育てるのが困難なのは、世界じゅう共通のことなのね。子育てにも通じますね。 心を込めて創られた本は人と出会って生命を吹き込まれ、愛を伝えてそのひとの人生を豊かにするわ。いじめや人間関係に悩み未来に希望のもてない子どもさんや若い人、子育て中のお父さん、お母さん、年配の方々に読んでほしいな。何度でもやり直せる。 あなたが私とおじさんとお話したら、きっとこの本を抱きしめたくなりますよ。 <今も本を抱きしめているソフィーより> |  『 ルリュールおじさん』 (理論社) | | 絵本への真摯な敬愛が伝わる |  『たましいをゆさぶる絵本の世界』 (「絵本で子育て」センター) | 『たましいをゆさぶる絵本の世界』 ( 飫肥 糺 / 著、 NPO 法人「絵本で子育て」センター) 。何度も読み返しました。絵本を読んで「感動した」とか「やさしい気持ちになった」とはよく聞きますが、“たましいをゆさぶる”という表現に、飫肥さんの 並々ならぬ絵本への愛と真摯な尊敬の気持ちが感じられます。 『絵本フォーラム』に七年間も連載された 41 篇が一冊の本に編まれ、第一章から四章まで絵本を一冊ずつ飫肥さんの読み方として平易な言葉で分かりやすく紹介されています。 子育て真最中で、まとまった読書の時間などとれないお父さん、お母さんもちょっとした時間に少しずつ読み進めていけますね。きょうはこのページのこの一冊 ・・・ と、いつのまにか 41 冊も絵本を読んでみたい。もう読んだ絵本も、知らない絵本も読んでみたくなるから不思議。大人になってから絵本を読んだ飫肥さんが今の子どもを取り巻く状 況に心を痛め、子どものコミュニケーション能力を育み、生命を大切にするために果たせる子どもの本や絵本の役割を私たちに伝え、ともに考えようとする姿勢 と熱意に、たましいをゆさぶられます。 (うえやま・えみこ) | | さりげなく、自信を持たせる言葉のプレゼント | | 春を満喫されていますか? わが家にはピカピカの一年生がいます。嬉しい一方、この前まで最年長クラスで頼もしかった背中が、ランドセルにすっぽり隠れたとたん心もとなく見え、親としてはドキドキしながら後ろ姿を見送る日々でした。 同じように4月に新生活をスタートされたご家庭は、連休でちょっと一息「ホッ」、そんな感じではないでしょうか? この時期、なかには環境の変化に圧倒されたり、自信をなくすお子さんもいるかもしれません…(それは、オトナも同じですよね)。そんな時は焦らず、さりげなく、自信を持たせる言葉のプレゼントがあれば、いつかはきっと……ね。 『SOME DAY いつかはきっと…』(シャーロット・ゾロトフ/ぶん、アーノルド・ローベル/え、やがわすみこ/やく、ほるぷ出版)。 褒められたり頼りにされたいエレンのかわいい願いや夢が、ページをめくるたびに、小さな花束のように次々と現れる魅力的な絵本です。 おにいちゃんが友達に「ぼくのいもうとです」って紹介してくれるシーンの、彼女のニンマリはにかんだ様子がたまりません。エレンや褒めた後のわが子の張り 切りぶりを見ていて、親に褒められた記憶のない私も、実はどんなに褒められたかったか…と改めて気づかされました。 作者・ゾロトフ氏の「良い絵本は、正直で、ひかえめで、直接的でなければなりません」との言葉も心に沁みました。 |  『 SOME DAY いつかはきっと…』 (ほるぷ出版) | | 親の元気は、子どもの笑顔につながります |  『子どもを愛せなくなる母親の心がわかる本』 (講談社) | 「生まれてきてくれてありがとう!」と思ったその言葉に偽りはなく、でも理想の子育てには遠く、思うようにいかず落ち込んだりイライラすることも…。 “子育てはこうあるべきだ”的な助言も多いですが、親も子も家族も、性格や環境、能力などが違い、いつも素直に受け入れられるとは限りませんよね。 タイトルは衝撃的でしたが、監修者にひかれて『子どもを愛せなくなる母親の心がわかる本』(監修/大日向雅美、講談社)を取寄せてみました。 ストレスを自分で消化したり、周囲の力を借りながら子育てをする糸口、周りに求められる理解などが端的にまとめられていて、誰しもどこかで頷けそうな、実践的で目を通しやすい内容でした。 私自身、育児スタート時に周りに知り合いはなく、夫も早朝から深夜まで不在の日々で「今日、日本語話したかな?」とか、虐待のニュースを見るたび「もしや 一、二歩手前?」などとドキッとしたことや、仕事も育児もいっぱいいっぱいの時もありました。 そんな時、周りのちょっとした言葉に救われたり、ファミリー・サポート事業でペアになった家庭のおかげで心身ともに復活したり……。今も凸凹子育ては続きます。 親の元気は、子どもの笑顔につながります。しんどい時は、絵本はもちろん身近なモノや人、支援制度などの助けも借りながら、少しずつ自分の心に優しさを灯せたら、自然と子どもにも寄り添えるはず……。 日々成長する子どもを見ながら、そんなことをお伝えしたくなった新緑の季節です。 (たかなし・かずこ) | | | 子ども歳時記1・2・3・4・5・6・7・8・9・10 | ※このページの著作権は「ほるぷフォーラム」が保有しています。 許可なく記事の転載・転用、商用販売は固く禁じます。
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